賃借人のお好み焼き屋さんが、家主に対して請求した金額は、850万円だったそうです。賃借人は何回もネズミが店内に出没してしまい、お客様にも目撃されてしまって困ったことから家主にネズミ駆除を依頼したそうです。

この家主さん、実は近くのお寺さんで、その店舗の建物も賃貸物件なら、隣のマンションもご住職様が貸しておられるそうで、お寺にもネズミは居るし、ご住職様としては困ったものですね。と答えながらも、ネズミ駆除の会社に依頼してもネズミの出没が止められず、次の会社に依頼しても出没回数も捕獲するネズミの数も増えるばかりで、困ってしまって打つ手なしという状況になっていたそうです。

そうしたら、ある日法律事務所から、お好み焼き屋さんから依頼を受けたとして、内容証明郵便にて850万円の支払いを求めるという通知があったそうです。まず、引越しの費用として80万円。移転先の近所のビルの保証金が800万円であり、現在のご住職様に預けている保証金の償却後の返金予定額が500万円あるので、差額の300万円分の負担、それに、看板の付け替え工事費用や移転及び開店を通知する新聞折込費用など、移転による損害及び出費の合計額として、850万円の支払いを求めてきたわけです。

調査依頼があってお伺いしてみると、確かに建物の構造的な問題が原因でネズミ達が侵入してしまっている箇所が複数ありました。しかし、深夜に納品に来る業者さんが、消火器をドアストッパーのようにしてドアを開放しておき、その間にトラックと往復して商品を納品しているのも分かりました。また、夏の暑い時は、勝手口のドアを開けたままにしておかないと厨房が暑くてたまらないそうで、その時にも消火器は、ドアストッパーの役割を果たしているそうです。

建物の構造的問題で家主の負担とも言える部分もありますが、賃借人であるお店側の運営上の問題も一因としてあるだけに負担割合など難しい問題です。双方が裁判所において徹底的に争うかと思いきや、損害賠償や弁護士費用などより、弊社のネズミ駆除費用の方がはるかに安いということで決着し、賃借人もドアを開放しないということで合意したそうです。その後、再発もなくお寺の本堂や庫裏の駆除も完了して、ホッとしているそうですが、すぐに弁護士が書類を作成するのが現代でしょうか。