アパートのねずみ駆除は、引き受ける業者が少ないと実感することが多い。
弊社の場合、スケジュールが予め決まっている。
従って、現地調査の依頼を受けても、その日のうちなど到底行くことができないことが多い。
だから、紹介斡旋サイトから数社に一斉に紹介があったとすると、弊社が現地調査に行くのは他の業者がすべて行った後に、弊社が行くことが多い。
よって、紹介斡旋サイトからの依頼で一般住宅はあまりにも打率が悪く、紹介斡旋を辞退した。
要するに遊んでいる、いつでも現場に急行できる、そんな余剰人員はいないのである。
仕事の取り過ぎなのかも知れないと思うが、断れない依頼の方が多いのも実態である。
そんなわけで、前振りが長くなってしまったが、アパートや小規模のマンションなどの物件も依頼を受けてから日数を経て現場に行くのであるが、他社がどこも来ていないことが多い。
弊社が一番乗りと聞いて、驚いてしまう。
そして、見積もりを提出すると、弊社が最も安く、ご用命頂くことが圧倒的に多い。
後から提出された他社の見積金額を聞いて驚いた。
弊社の2倍などという金額がざらにある。
中には、「ねずみ家グループさんは、いくらだったんですか。うちはその2倍です。」と言って見積書も出さなければ、調査報告書も出さない業者が居たそうだ。
要するに、引き受けたくないのが駆除業者の本音なのである。
現に、一般住宅や店舗は引き受けている会社が、「申し訳ありませんが、他の現場で手が一杯なのでお断りします。」なんて言うケースもあるぐらいだ。
なぜアパートやワンルームマンションのネズミ駆除を断る業者が多いのか、引き受けたくないのか。
そこには、明解な理由がある。
それは、若い世代の入居者があまりにもいい加減だからである。
スケジュールの連絡を携帯電話に入れる。
ちなみに固定電話など持っていないから、すべては携帯電話に連絡する。
すると、留守電になるのでメッセージを入れるが、連絡がない。
何回か電話したり、現場のドアに名刺を貼りつけたりして、やっと連絡が付く。
そして、予定した日の前日に、「明日のお約束の時間にお伺いさせて頂きますが、ご都合は宜しいでしょうか。」と聞いてOKをもらっていく訳だが、≪ドタキャン≫なのである。
10室のアパートで、何とか約束を取り付けて、4室の施工が可能だと思って行っても、1室だけであとは不在だったり、居留守だったりする。
昨日もドアのブザーを押しても応答がなく、電気メーターは激しく回っているので、居るのは分かっていたが、居留守を決め込んで出て来ない。
ところが、反対側の施工をしようと回り込んだら、その人は洗濯物を取り込んでいて、バッタリ鉢合わせしてやっと開けてもらった。
こんな状況だから、例えば、202号室が約束違反して開けてくれないと、102号室や203号室、また、201号室などという隣接するお部屋を施工しても、202号室に逃げ込み、202号室の台所に出没し、202号室の天井裏に≪巣≫を設営して増殖し続ければ、このアパートの施工は、永久不滅の巨人軍より長期間にわたってしまうかも知れない。
実際、一斉に施工させてもらえれば、7回ぐらいの施工回数で終了できるところが、1年4カ月で23回行っても終了できないケースがあった。
だから、ワンルームマンションやアパートのネズミ駆除は、多くの業者がイヤで引き受けたくない訳である。
以前は、管理会社とか、不動産会社とかいう立場の人々が、留守宅の合鍵を持って立ち会って開けて下さった。
だから、施工日に一斉施工ができ、安い金額でアパート全体が施工できた。
ところが、セキスイ系列の管理会社様など、最近は鍵さえ預からないシステムに変更されてしまった。
これは、関西のあるアパートで発生した事件で、消防法の規定で年に1回の定期検査があり、留守宅は合鍵で入室し、点検されたそうだ。
その時に、入居者から現金を盗まれた、という主張がなされた。
消防機器の業者もセキスイ側も複数で立ち会っており、そのような事実はないのに、いわゆるビックマウスとか、クレイマーとかいう人だそうだ。
この一件依頼、全社で鍵は預からない、という方針に変更されたのである。
この時以来、一斉施工は不可能になった。
何しろ、家賃の不払いがあって、家主が追い出すために部屋に立ち入ろうとしても、占有権とやらを主張して家主が入れないという時代だそうだ。
家賃も払わないでいて、どんな権利を主張できるのか私には分からないが、法律があっても倫理観のない時代になってしまったようだ。
それでも、「ネズミの音が気になって寝られない。」とか、「子供のアレルギーが酷くて夜も泣き続けている。」などという居住者の声が聞こえてくるので、ついつい現場に行って、完全赤字が分かっていても引き受けてしまっているのが実態である。
人間の違いは大きい。
分譲タイプのマンションであれば、自分達の資産価値が下がってしまうことを意識して、駆除業者の予定日には、仕事を休んででも合わせて頂けるケースがほとんどだ。
または、土日などの週末に集中する傾向があるけれども、皆さん協力的なのである。
現場に行けば、調査報告書と見積書を出さなければならず、提出することになる。
弊社よりもっと安くて、早期に駆除できることを常日頃ウリにしているような他社が成約されることを心底願いながら提出するのだが、結果的に弊社にご依頼頂くことが多い。
技術的に難しい現場、他社が断念した現場など、大好きであり苦にならない。
しかし、どうにも約束を守れない人々、相手に迷惑を掛けたという感覚や先日は失礼しました。という当たり前の挨拶さえできない人々が本当に多い。
この国、本当に大丈夫であろうか。
若い世代を見ていて、国の将来が不安になってくる。
資本主義とか、競争原理は優れたシステムだと思うし、ソ連の崩壊を上げるまでもなく、共産主義より生産的であり、国力が伸びるのは中国の事例でも明らかだ。
しかし、自分さえよければ、利益さえあれば、自分の権利主張は最優先などという若い人々を見ていて、我々大人世代の責任なのかと思うことがある。
もう少し、日本のお母さん達がしっかり躾をしていてくれればと思うし、お父さんも自分の息子と正面から向き合うことが必要ではなかろうか。