私のライフワークのひとつは、塩の研究である。
私自身も晩年は塩の製造や販売を考えている程であり、自分で言うのも変だけど、セミプロと言える。四国から九州、そして沖縄県など、塩を製造している現場は、そのほとんどに足を運んで見学し、経営者たちとも談笑してきた経験もある。

そんな私が塩の価格について驚いた。フランスにおける販売価格である。ご存知の方も多いと思うが、天然塩と言えば、フランスのブルターニュ地方で採れるゲランドの塩、一般的なお店では、125gで3.85ユーロ=約389円というのである。
1グラム単価に換算すると、3.112円となる。だから、日本で売られている1kg入りの袋に換算すれば、3112円となる。参考までに日本で一般的な塩業センターの塩は、115円ぐらいで売られている。

ところが、驚いたことには、そのゲランドの塩。同じ塩である。これが、売っているお店によって付けている販売価格が違う。
何と、かの有名なフォションになると、72gという半分で、7ユーロ=約707円というのである。1グラム単価に換算すると、9.819円となる。
日本で売られている1kg入りの袋に換算すれば、9819円という金額。私は計算が間違ったかと二度計算した。しかし、間違っていなかった。

同じゲランドの塩なのに、輸入や輸出などの諸費用がある訳でもない、同じパリ市内の価格なのに、こんなにも違う。

フォションなら安心で間違いないという信頼性があるのか、それ相当の客層が買い物に来るからであろうか、私のような凡人には、理解の範囲を超えているように思われてならない。