きのうの朝日新聞を読んで驚いた。中国の尖閣問題に端を発して、中国国内で様々な暴動などが発生していることを伝えると共に、ひとりの青年が可哀そうだ、という論調の記事があった。
青年は、貧しいふるさとの家を後にして出稼ぎに出ている。しかし、収入には大きい不満があるとしている。
事件は、その青年が日本車に乗っていた人に対して暴行を働いたこと。そして、その被害者が中国人であり、頭蓋骨が陥没してしまい、意識不明の重体になっているというのである。
そして、朝日新聞は、青年が可哀そうであると論じている。なぜなら、抗日思想に染められていた、とまるで被害者のような扱いの論調になっている。

ふるさとの年老いた両親の顔写真も乗せ、母親の「抗日思想に染まるのも無理はない。」というコメントを補足する形で、テレビ番組の数について取材し掲載していた。
その記事によると、【確認できているだけでも、昨年一年間の中国区内の全国ネットの番組のシリーズで、12シリーズが抗日番組であり、396回が制作されているとのこと。そして、その記事の前日の23日の1日を調べても、各地のテレビ局40局のうち、過半数になる21局が抗日番組を放送していた。】

だから、青年が洗脳されてしまうような影響を受けるのは当然であり、青年が可哀そうという論法のようだ。朝日の論述はそれで終わり。

事件があっても報道管制を行う中国共産党だから、意図的に抗日番組を作り続け、放送し続けていることは明確であり、その中国政府に対する朝日の一言はない。

どうして執拗に抗日番組を作らせ、放送させるのか。言論弾圧でもコントロールでも何でもできる中国政府が何を考えて、抗日、反日の思想教育を学校教育の教科書にも乗せ、一般国民には抗日・反日番組で洗脳し続けるのか、それらの本論については、朝日新聞は掘り下げるどころか、一行も触れていない。

青年にスポットライトを当てるだけで、国家の言論統制や世論の形成など、中国政府が何を考え、その実態がどうなっているのか、中国共産党の実態などについては、一言も触れていない。