いろんなところからネズミ駆除の依頼は来るけれども、動物園もそんな非日常的なところのひとつです。ある動物園で、アフリカから珍しい鳥を購入されたそうです。そして、その鳥が卵を産み、さぁ育てようと思っていると卵が消えてなくなるそうです。
最初は、係員を疑い、同僚同士でお互いが持ち帰ってしまったのか、などと疑心暗鬼になっていたのです。なぜ、卵が消えるのか、そして、その鳥の部屋にネズミのフンがあったけれども、どこにも住んでいないし、ガラス張りだったり、コンクリート壁だったり、侵入できる場所もないのに、どうしてネズミのフンがあるのか、調べてほしいというのです。
お客様の視線から見れば、ガラス張りの展示室は、左右がコンクリートの壁、室内には砂が敷き詰められていて、岩が回りに置いてあり、植物なども植えてあって、自然環境の中に生息しているような感じになっています。その岩や植物の間を鳥達が群れて歩き回っていたり、座り込んだりしていました。
確かに、どこからも入る余地がない。裏側の飼育員が出入りするところは、ドアになっていて常に施錠されていて、まったく出入り不能。しかし、ネズミのフンがひとつだけある。
さすがに動物園です。獣医の先生もいらっしゃれば、動物学の博士号の先生など、ドイツ語や英語の専門書を持って来られ、どのタイプのネズミのフンなのか。確認しようとされたり、学問的に色々と検証されていらっしゃいましたが、誰一人として、どうやって捕まえるのか、どこから侵入し、どこで生息しているのか。失敬した卵は、どこへ持って行ったのか。諸先生方の専門家は、分かりませんでした。
ノウハウの問題もございますので、詳しい駆除の方法などは書けませんが、ネズミ達は完全駆除し、それ以後卵も獲られることなく、無事に繁殖に成功されているそうです。ひとつだけヒントを書きますと、外部から見て岩だったのは、すべてFRPという樹脂製の偽物の岩でした。その中にネズミ達は≪巣≫を設けていました。人間の及ばない所がネズミ達の解放区なのは、ここでも例外ではありませんでした。