日本の政治家が、外交音痴になっているひとつの原因は、正確な情報不足にあると思われるし、その根幹をなすのが、日本の報道機関の偏重である。
世界的に見て、隣国で起きている事実関係について、日本のマスコミだけでは真理を知る術がない。実に困ったことであり、不思議なことであり、中道とか、中立というマスコミのあるべき姿に立ち返ってほしいと願う次第である。
中国は、1964年の東京オリンピックの年に、最初の核実験を実施してから、実に32年間に46回も核爆発実験を行っている。年がら年中と言っても間違いではない。世界の83カ国には報道され、世界中が知っていることなのに、日本では報道されない。
タクラマカン砂漠東部のロブノール基地近くで、1980年までに主に地表や空中で爆発実験をしている。また、1982年から1996年までは、クルク・ターグ山脈の低い山の中で、地下実験を実施している。
米国やロシアでさえ、メガトン級の核実験を内陸では実施していないのに、1967年には3メガトン、1976年には4メガトンの核実験を実施した。風の吹いていた方向の関係から、ウイグル人に多大な被害があり、死者19万人、白血病やその他の被ばく患者数は、129万人に達するという報道がある。
ウイグル人医師がトルコに亡命した後、イギリスに渡り、1988年8月には『シルクロードにおける悲惨な死』をテーマとしたドキュメンタリーが放映され、ローリーペック賞が与えられた。残念ながら、日本では放映さえされていない。(札幌医大・高田先生の資料より)
このような事実があり、世界の主要な国々では大きな話題になっていても、日本は報道管制が敷かれているようだ。偏向し続ける理由は何なのであろう?事実を事実として伝えるぐらいは、何とかして欲しいものだ。北朝鮮でさえ、衛星?の失敗を失敗として報道するようになったというのに。
個人が情報を正確に取得することは、大変に難しいと思う。ましてや遠い国の問題など、誰が取材し、誰が公開するのか、報道機関の社会的な存在意義を問いたい。
政治家も事実を知らない、学者も情報源が限られている。世界の常識を知らない、非常識な面々が、国際化時代の舵を取るから恐ろしいと思うのは、私だけだろうか。