先般、ある場所で軽自動車による交通事故で、多数の尊い命が亡くなるという事故があり、その報道において、新聞各紙もテレビ各局も、一斉に<てんかん>という先天的な病名を原因とするものという趣旨の報道をしていた。
運転していた本人(てんかんの治療中)の担当医まで記者会見に引っ張り出して、「運転はしないように注意していた。」などと表明されていた。

しかし、この事故は、多くの犠牲者を出す前に、タクシーに追突していることが判明している。そして、その際に衝突後にパックしている。<てんかん>とは気を失っている状態になることは誰でも知っているものであり、<てんかん>による事故という決め付けをするのなら、意識不明の状態であることが大前提となる。

ところが、バックしているのである。衝突後にバックするという行為を<てんかん>の症状が発症していたら、できないことは誰でも分かりそうなのものである。

そして、日数が経過してから、実際に死亡した運転手本人の運転する軽自動車が、電信柱に激突して死亡する瞬間の映像が出てきて公開され、ネット上にも配信された。

この映像を何回か見たが、道路の右端を前方の車を避けながら、こすりながら、明らかに意識不明ではなく、しっかりした意識を持って、運転しつつ、最後は左前の車に気を取られ、電信柱の存在に気が付かず、激突しているように思われる。しっかりした意識でハンドル操作しているからである。

政治の問題や宗教の問題は、この紙面では書かないことにしているが、報道の姿勢に一言申し上げたい。警察発表とか、ぶら下がりの取材とか、ニュースソースや事実関係の詳細な事象について、自ら足を運び、検証するぐらいの報道に携わる者としての気概がないのだろうか、粗製乱造という気がする。だから、一斉報道であり、均一化してしまって、真理の探究がない。

昔話になってしまうが、オウム真理教による、サリン事件の時にも長野県の河野様という何の罪もない人を個人攻撃して、結果的にマスコミ各社は謝罪した経緯がある。

社会的なイジメにも近いような、事実関係も確認しないような取材になっていない粗末な取材、どれほどのプロとしての覚悟があるのか。極めて情けない。

もっと情けないのは、映像が公開された後、謙虚に詫びる姿勢がないマスコミ各社の対応である。猛省なくて改善もない。終わりだね。