随分昔の話であるが、思い出したのでご紹介させて頂きたい話がある。

東南アジアのある国とさせて頂きます。その国から日本語のとても上手な青年が現地の会社を代表して研修に来られた時の話です。
空港に出迎えに行きました。帰りの都心への高速道路を走り始めた頃から、周りをキョロキョロして落ち着きがないと感じました。
トラックが走っていると、凝視するのです。乗用車には反応しません。変だな、と思ったのですが何が変なのか分かりませんでした。

そして、いよいよ都心に入ってくると、マンションなどの共同住宅が増えてきます。すると、マンションとトラックと両方に極端に反応していて、何しろ落ち着かない。右にトラックがあれば、ジィーと見つめるし、左にマンションがあれば、全体をキョロキョロして見渡しているし、珍しい建造物などあまり興味を示さないのに、トラックは反対車線の行き過ぎる車両まで視線が追っていました。

湾岸の高速道路を見せたり、レインボーブリッジなどを説明したりしても、一応見るもののマンションとトラックに対しては、何も言わなくても自分で凝視している。

それから3週間の研修が終わろうとしていて、随分と親しくなった時、コンビニの配送車が深夜に店舗の前に駐車して、荷物を搬入していたら、トラックの中まで彼は覗き込むように見入っています。見ているのではなく、見入っているのです。

どうして、そんなにトラックに興味があるの? 私は、ついに聞いてみました。すると、彼から思わぬ回答がありました。

「日本という国に関して、私の国では、大人はアダルトビデオ、子供たちはアニメ、これを見ています。日本という国のイメージを決めているのはモニターの内容です。」そして、彼は、「日本のアダルトビデオでビックリしたのは、街を走っているトラックの荷台で、セックスしているビデオを見たことがあって、日本人はどこでもやっていると思っていました。」聞いてみると、マンションのベランダというのも見たことがあるそうです。

私は子供向けのアニメを見たことがないので内容について、知らないので心配しているだけであるけれども、日本のイメージが映像で伝わっていて、ショックな内容だけが人々の印象に残り、決め付けられてしまう現実は、業界関係者に一考を願いたい。