先般、緊急呼び出しがあった。栃木県下の運送会社が、群馬県の某所にも倉庫を作り、新築後1年でネズミが発生した。2社の駆除会社に依頼しても、捕獲することができず、毎日のように喫食の被害で商品が食べられ、段ボール箱は破られるという事態になっているとのことで、「助けてほしい。このままでは荷主から契約解除され、倒産してしまう。」という悲痛な叫びだった。
お伺いしてみると、社長以下幹部社員が、真っ青な顔つきで、神にもすがる様な思いでお願いします。と懇願されました。印象的だったのは、「断らないで下さい。」という社長さんからの一言でした。
この会社は、2社に依頼してもネズミの被害が増えるばかりで止まらなかったことから、5社に問い合わせして現場の倉庫に現地調査に来たのが4社、1社は広さを聞いたり、建物の構造を聞いて、「ネズミは止まらないものです。」と答えて来なかったそうです。来て調査した会社のすべてが、「無理です。」と即答して帰ったそうです。
もちろん、私は「喜んでお引き受けさせて頂きます。」とお答えしたが、確かに難しい案件であることは間違いない。
幹部社員の皆さんは、「引き受けてもらえた。良かった。」と笑顔で喜んだものの、次の質問は、「いつ頃までに捕獲できるのですか。」とか、「いつから初めてもらえて、いつ頃に終わるのですか。」など、見通しについて聞かれた。
予定通りネズミが動いたり、食べたりしてくれれば、予定や計画が見えますし、答えられますが、「無理です。見通しは分かりません。」と言うしかなかった。こんな時に安易な予想でも言ってしまうと、「あなたは言ったではないか。」などと詰問されてしまうことさえある。
いずれにしても、契約締結までは助けてもらう側で、神様仏様というような、懇願するような頭の下げ方だった役員諸兄も、契約してお金を払う側になると、いつになったら、どうするんだ、何をするのか、いつ来るのか、まるで奴隷の労働状況を監視するかのような、対応になってくる。
手のひらを返すというような変化に驚かされることがある。何日か経過して捕獲し、結果を出すと満足はしてもらえるけれど、それでも当たり前のことを当たり前にやってしまったことに対して、何もなくなる。関東一円で奴隷になる日々である。