ネズミが天井裏などで死んでしまうことが、稀にある。ほとんど95%ぐらいは、屋外に出て行ってしまうけれども、息絶えて屋内で死んでしまうケースもある。大体のネズミは、自分自身の体調不良で死期が迫ると、その薬効と習性から、光を求めて屋外に出るとか、死骸を他の動物に見られないように、土の中に潜って死ぬなどの習性があります。
しかし、建物内部で息絶えてしまうと、これが大変な悪臭を放つのです。先般も弊社が難物件ばかり、他社のできなかった再発現場をすべて引き受けているファースト・フード・チェーン店から、死骸が臭うからすぐに来てください。と緊急出動の依頼があった。深夜の閉店時間に行ってみると、死骸の悪臭ではなく、システムキッチンの下の方に長期間にわたって溜まっていた水が腐敗した臭いなのです。
店長が不在で、アルバイトの方に説明したことところ、水が腐るという現象が信じられないのか、弊社のスタッフの説明を聞き入れようとしないのです。だいたい、水がそんなに臭う訳がないとか、ご自身の経験値の中で考えられなかったのでしょうけれど、已む無くその水を掻き出して、臭いを体験してもらい、やっとご理解頂けました。
団地生まれのマンション住まいなど、幼少の頃からネズミなどと縁がなく、ネズミのフンは、お米が炭化したのかと思っていました。とか、水は流れないと腐るとは知りませんでした。とか、何しろ、生物としての知識が欠如しているような感覚です。
酸っぱいものは、腐っている可能性があるとか、腐敗臭がどんなものかなど、知らない若者が増えていると実感します。
賞味期限だか、消費期限だか、社会的なシステムが安全安心な方向に向かえば向かうほど、人間が生物しての防衛本能とか、臭いと感性、危険の察知する能力などが退化してしまうような気がしてなりません。