埼玉県の某所の住宅から現地調査の依頼があった。お伺いしてみると、屋根裏には<ねずみ○発退場>という燻煙剤とか、<プロ用○○粘着シート>など、いわゆる素人向けに発売されている駆除グッズが、ずらりと並んでいる。
 1階が女性客の訪れる店舗ということもあって、お父さんは必死に頑張ったそうだ。だけど、ネズミは減らないし、増えているような気さえする。その家には、ご夫婦と長女にそのお子さんという家族構成のようで、皆さんで赤ちゃんのことを気にしておられる。ダニによる被害でも出たらどうしようというのである。その上、春には次女の方も出産のために実家に帰ってくる。だから、その前に何としてもネズミ駆除したいということだそうだ。

 ところが、奥さんも長女様も、お父さんに気配りしてとてもプロには頼めない。高いし、折角お父さんが頑張っているのに、プロを頼んだらお父さんを怒らせるか、がっかりさせてしまうというのである。そこで、お二人は考え抜いた、毎週木曜日にお仕事のない次女宅にお父さんに行ってもらい、その留守の間に現地調査し、施工もしてほしいというのである。

 当初は順調に進み、部屋の中にも出る心配はなくなった。ところが、後半戦になって外部からの侵入を阻止するためには、どうしても外壁にある配線などの入っている箱の入口を閉鎖しなければ、どうしてもネズミ達がそこから建物の中に入っていることが判明した。弊社からの提案では、そこに扉を付けさせてください。というものであるのに対して、外部に見えるところにそんなものを付けたら、お父さんに気付かれてしまい、誰が付けたのか問題になってしまうというのである。開放状態のままではネズミ達の出入りを止められない。でも、扉を付ければお父さんに怒られる。
 
 ここで弊社のスタッフが考え付いた方法は、扉も取っ手も、兆番もすべてお嬢さんが近所の人に聞いて自作したけど、どうしても取り付けられないからお父さん頑張って、ということで、取り付けをお父さんにお願いすることにした。

 何だか、弊社のプロが費用を頂戴して施工するべきものを、すべてを準備するものの、お客様に取り付けをお願いするのがベストという、誠に変な解決方法となってしまった。お客様に取り付けして頂いて施工完了なんて、???という考えもあったが、娘さんたちの願いや赤ちゃんの安全性、そして、お父さん思いの女性群の優しい、何となく暖かい家であり、ネズミ達が集まりたくなってしまう家かと、心配したり、ホッとしたり、割り切れないような変な話。