首都圏のある駅に直結していると言えるほど近い立地条件の超高層ビルから調査依頼の連絡がありました。
当然、管理会社もあり、系列の駆除会社もあり、みんなお手上げなのです。そんな物件しか弊社には来ませんが、これまた嬉しい仕事なのです。他社ができないことに存在意義を感じているのが正直なところ、これ以外に生き甲斐がないとも言えるのです。
しかし、行ってみて驚きました。
ネズミが出没しているのは、高層部分のマンションではなく、事務所フロアーや飲食フロアーなどのうち、5階だけなのです。4階にも被害なしで出没した形跡もない。6階にも被害もなければ、出没した形跡もない。どういうわけか、5階だけなのです。
弊社のスタッフも、真顔で私に言うのです。「足跡もなければ、≪巣≫もない。形跡があるのは5階だけですから、最近のネズミは空を飛んできて、侵入するようになったのですね。」
弊社のスタッフは、侵入経路が分からない時、どうしても解明できない時、空を飛んでくるなどと言い出すのです。
ビルには給排水のためのパイプが上下階に走るため、パイプスペースという部分があるのですが、この部分がちゃんと丁寧に施工してあって、床面も天井面もコンクリートで埋まっているのです。エレベーターホールにも足跡などの形跡がないのです。
それでいて、5階のフロアーは、ほとんどがネズミ達の移動した形跡がありました。隅々までネズミ達は徘徊していたのです。だけど、入口が分からない。
ほとほと疲れ、ネズミ達の動線が理解できないまま、一服しようということになり、非常階段の踊り場に出て一服となりました。その時に、ネズミの大量の足跡を発見しました。目隠しにしているステンレスの板に丸い穴を開けたもので、通行人の多くの視線を遮っていたパネルがネズミ達を呼び込んでしまっていたのです。