有識者らでつくる政策発信組織「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会(座長・増田寛也元総務相)が、以前にこんな試算結果を発表した。
分科会は地域崩壊や自治体運営が行き詰まる懸念があるとして、東京一極集中の是正や魅力ある地方の拠点都市づくりなどを提言した。
分科会は、国立社会保障・人口問題研究所が昨年3月にまとめた将来推計人口のデータを基に、最近の都市間の人口移動の状況を加味して2040年の20~30代の女性の数を試算。
その結果、2010年と比較して若年女性が半分以下に減る自治体「消滅可能性都市」は全国の49・8%に当たる896市区町村に上った。
このうち523市町村は40年に人口が1万人を切る。
消滅可能性都市は、北海道や東北地方の山間部などに集中している。
ただ、大阪市の西成区(減少率55・3%)や大正区(同54・3%)、東京都豊島区(同50・8%)のように大都市部にも分布している。
都道府県別でみると、消滅可能性都市の割合が最も高かったのは96・0%の秋田県。次いで87・5%の青森県、84・2%の島根県、81・8%の岩手県の割合が高く、東北地方に目立っていた。和歌山県(76・7%)、徳島県(70・8%)、鹿児島県(69・8%)など、近畿以西にも割合の高い県が集中していた。
増田氏は都内で記者会見し、試算結果について「若者が首都圏に集中するのは日本特有の現象だ。
人口減少社会は避けられないが、『急減社会』は回避しなければならない」と述べ、早期の対策を取るよう政府に求めた。
すなわち、先般の総選挙でも、「地方に景気回復を実感してもらえるようにする。地方創成だ。」と言いながら、人口動態と言う外れることのない予想データは、人口減少により、地方の力が削がれる、と予想している。
現実は、都心回帰である。
以前に弊社の製作部がある埼玉県・加須市のマンションを見て驚いた。
大京観光のライオンズマンションである。発売当時は3980万円だったという記憶がある。
現在では850万円でも買い手が付かず、空室の目立つ≪歯≫抜けマンションになりつつある。
横浜では丘陵地帯の住宅街が過疎状態になり、空家ばかりが増え、行政と鉄道会社と東大の研究室が一緒になって、街の活性化を検討している。
日銀は、無理やり市場にお金を大量供給するため、10年物国債などを買い上げている。
その結果、住宅ローン金利は史上最低を下回っている。そして、原油価格が下落してしまっていることから、物価を下げる作用が働いてしまっている。
観光事業は全国的に対前年比が落ち込む中、沖縄県石垣島は、対前年が増加し続けている。
ふたつ目の空港ができ、大型ジェットでも東京からの直行便を迎えるようになっている。
ところが、この人口4万人弱の島において、県立病院の八重山病院でさえ、産婦人科の医師が居なくなり、出産する妊婦さんは沖縄本島まで行かなければならなくなっている。
長崎県対馬も同様で、全国各地にそのような現象が広がっている。
経済政策とか、地方にも経済成長の波及効果などと言っているが、そんなレベルではなく、地方の896の行政を何とかしなければならない。