弊社のスタッフは、すべてがノリである。

会社の設立も毎日のハンティングが面白くて、

知り合いの飲食店を施工して回ったのから始まり、

「他社が止められなかった」と聞くと、

テンションが上がって止めてしまう。

 

膨大な面積の物流センターとか、

ボロボロの住宅とか、

他社が逃げ出した物件は、どうしても引き受けたくて、

めちゃくちゃ安い金額で見積もってしまう。

 

先日も超高層ビル1棟を「現在の半値でイイです。」と

これまでの価格を聞かずに決めて来てしまう。

馬鹿しかいない。

そんな連中が一番喜ぶのが、海外からの仕事の依頼だ。

 

今回はタイのバンコク。

これまた大赤字で見積もってしまったのだ。

 

国内だって地方に行けば、高速代とホテル代など、

赤字の現場があるのに、

どうして高速代より航空運賃の方が高い

ということが分からないのか。

本物のバカである。

 

天然蔵出し100%混じりっけなしの純粋バカか、

確信犯か、何しろどうしようもない。

 

現地に持参する機材のリスト作成、

現地の通訳の手配、ホテルの予約、

現地で購入する脚立や金網などの購入品リスト、

機材運搬のレンタカーの手配、

いずれも赤字の累計額を考えるたびに、めまいがする。

 

本当に頭痛とめまいがするのである。

ため息は通常の呼吸となってしまう。

それなのに、みんな笑顔。

まだ必要もないのに、現地入りするのは来月なのに、

パスポートを事務所に持って来て、

引き出しから出したり入れたり、

どうやら修学旅行のノリでも味わっているようだ。

「社長、グーグルで<めまい>を検索したら、耳鼻咽喉科らしいっすよ。

早めに行った方がいいんじゃないですか。」

本気で心配しているのか、心やさしいのか、

原因がストレスだと分かっている筈なのに。

 

しかし、現地に駐在員事務所を設置して、

おバカの左遷を視野に入れ始めたら、

誰を飛ばすか悩み始めた。

みんなまとめてノリ軍団を飛ばしてやりたくなる。

憎めないノリ馬鹿達と楽しみながらやっていくしかない。

「社長、お小遣いはいくらまで持って行っていいんですか。」

「お菓子は、3つまでだぞ。」

難聴老人を装いながら、ノー天気のおバカ軍団と今日も一緒だ。

 

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