弊社のお取引先のひとつに、大手建設会社の関連会社で、不動産管理会社がある。
地主に提案し、建物を建てると共に、全館を借り上げて20年間の家賃を保証し、建物を維持管理するというシステムをウリのひとつとして業績拡大されている。
この会社の建物で、時々ネズミが発生することがある。すると、弊社に依頼が来る。そして、いつものように居住者の皆様に施工予定日を提示して、居住者のご都合をお尋ねし、都合のつかない居住者は、本人の同意があれば、管理会社が代行して鍵を開け、立ち会ってくれて弊社の技術者が施工し、終了すると鍵を掛けてもらうシステムになっていた。
ところが、「立ち会いにて鍵を開けることを致しません。」と突然の方針転換なのである。「なぜですか。開けてもらえないということは、施工にお伺いする回数が増えてしまい、当初の見積金額では施工できなくなります。」と見積もりの改訂も含めて、立ち会いを迫ってみたが、「どうしても全社的な方針なのでできません。」との一点張りでラチがあかない。
詳しく聞いてみると、関西のある営業所で、居住者が立ち会いを認めたので留守の際に立ち会ったところ、後になって「現金がなくなった。」と言ってきたそうだ。
その結果、その不動産会社の法務部に所属する企業内弁護士などの協議の結果、会社として鍵を預からない。どんなことがあっても立ち会わない。という方針に転換されたそうだ。
火災報知機の作動確認の立入調査とか、家主の財産である建物の安全管理のため、どうしてもその所有権に基づいて、立ち入ることが許されるべきと考えたいところだが、大手不動会社の見解としては、家主の所有権とか、居住者の居住権や占有権などという問題の前に、悪い人間が増え過ぎて社会の秩序が乱れて来ていて、犯罪の機会を与えてしまうような行為は自粛することにした。というのが本音のようだ。