早朝の築地に行ってきた。築地市場の外側にあることから、場外市場などと言われるエリアである。そのうちのある会社からネズミ駆除の依頼を受けた。
早朝の4時30分から忙しくなるから、その前に来てほしい、というので3時30分にお伺いしたら、誰も来ていない。
結局、会社の人が来たのは、4時20分。建物内に入ってみると、商品だらけで奥に進むこともできない。結局、4時30分になって、会社の従業員の数も急速に増えて、全員で商品の蔵出しが始まった。手際が良いというのは、このようなことで、毎日の訓練の賜物である。
そして、店頭に商品が並び、どうぞ調査して下さい。と言われたのが、4時45分なのである。結果的にその前に来ても何もできない。着手するとしたら、5時からでもOKだったという感じである。
ところで、この会社の隣に食品問屋があって、頻繁に近隣に止めているお客様の車に荷物を届けている。その運搬業務をこなしているのが、多国籍軍なのである。
オーナー社長だけが日本人であるが、その他が違う。バングラディッシュ人、中国人、インドネシア人、シンガポール人、イラン人というように、全部がアジアの各地から来ている人々である。
聞いてみると、募集広告をどんなに実施しても、日本人の応募はないそうだ。時給が安いのかと思いながら聞いていると、「自給1050円も提示しているのに、来ないんだよね。」とオーナー社長氏の弁。社長氏曰く、「日本人は早起きがカッタルイ。」「重い荷物を運ぶのがウザイ。」と言って来ないそうだ。日本人が、怠慢になっている分野を多国籍軍が攻め入っているのである。社長氏の弁が続く。「まいっちゃうよなァ。まさか自分が英語で仕事するなんて、考えてもいなかったよォ。」とのこと。
日本人の青年達は、上司に何かを言われても、目を見ることなく、横を向いたまま頷いたりすることがあるが、早朝の多国籍軍は違う。社長氏が何かを言う前に、「えェーっと」というのが付いてから、英語が続く、この「えェーっと」と言っただけで、多国籍軍の全員が眼光鋭く一斉に社長を見る。目線を合わせるためではなかった。社長のジェスチャーを見ていないと、英語だけ聞いていたのでは通じないのである。
「あっちの荷物をあそこへ持ってってくれ。」「That 荷物をあそこへ」良く聞くと、英語は一部であるうえに、動詞などは省略されている。社長氏の腕と指差す方向が重要とのこと。きびきび動き回る多国籍軍は、みんな真面目だそうだ。
「時間にルーズですか。」と聞くと、「トンデモナイ、遅刻なんかゼロだよ。」勤務態度もとても優良だそうだ。何でも、母国でもらえる給料と比較すると、30倍という人もいた。
弊社の従業員も、30倍払ってみたら、どんなに変わるだろうか。多国籍軍に勝てる勤勉さ、真面目さは、期待できない。