ある商業施設のビルがある。そのビルの5階の居酒屋さんがお客様であり、今回が初回の施工予定だった。ところが、現場に着いてみると、その店長が言うのには、「このビルのエレベーターって、午前2時に止まって、朝の6時まで動かないッス。」とのことだ。
参った。午前2時から1時間施工して、次の現場に移動してもう1件を施工することになっているのに、そんなエレベーターの事情など聞いていなかったし、・・悩んでしまった。
しかし、次の物件の方が大勢で処置しないと、広い店舗なのでどうにもならない。そこで、ひらめいた。そして、私は言った。「A君、君の才能をテストしてみたい。」この走り回っている居酒屋の店舗で、50枚の粘着シートだけで、できる仕事をやってみなさい。君ひとりだけこのお店に残して、我々は次の物件に行き、作業が終了したら、朝迎えに来てそれから一緒に朝ごはん、そんな予定に変更。」と言った。
そして、朝になって迎えに行った。
もう、エレベーターは動いている。5階でエレベーターが止まった。鍵が掛かっていてドアが開かない。携帯電話しようとしても、電波状況が悪くて通話不能。ドンドン叩いたら、その新入社員のA君、慌てて出て来ようとして、粘着シートだらけになっている。
聞けば、個室の部屋で自分の周りに粘着シートを敷き詰めて、ネズミ達が来ないように近付けないようにして、座布団で寝ていたと言うのである。
ネズミ達が走り回っている店内で、よく寝たものだ。と根性には通信簿<5>を付けられるが、その他の評価項目は、<1>だった。
そこで熟睡し、ドアのドンドンという音に驚いて、飛び起きて動こうとした瞬間に、自分自身で粘着シートに捕まってしまったという訳である。