沖縄県の翁長知事は、沖縄県の米軍基地が返還されれば、その経済効果は3200億円だと主張されているが、私は間違っているように思えてならない。

なぜなら、3200億円の経済効果があると主張している陣営の論拠として、北谷町のアメリカンビレッジの成功事例を挙げている。

この商業施設はそう簡単に成功できるレベルのものではない。

K氏という極めて優秀な行政マンが町長の右腕としてその能力を発揮し、区画整理からすべての事業計画を練り上げ、商業施設の選定から運営、海外観光客の誘致から交通手段の確保まで、その極めて高い先見性、抜群の実行力、実績を積み上げるスピード感、いずれも卓越している。

沖縄県庁を辞して北谷町という役場に勤務するところから始まり、各部署を歴任し、本省の霞が関との折衝からヒルトングループなどの海外企業とも出張して渡り合い、その才能と努力の結果が成し得た結果であり、沖縄県の行政の分野で彼ほどの能力はそういないのではなかろうか。

 

翁長知事は、那覇市長時代に、那覇軍港の浦添移転を推進し、那覇軍港を返還させるとともに、浦添沖を埋め立てて新しい軍港を作り移転した。

移転に際して翁長知事は「決断に敬意を表する。今後、那覇港は県、那覇市、浦添市の三者が一体となって国際流通港湾として整備・管理することになる。振興発展を担う中核施設として整備されるように努力を重ねたい」とコメントされたが、その結果が一体どうなったというのだ。

絵に餅を書いただけだ。

 

知事のブレーンにK氏のような優れた哲学と先見性を持ち、辣腕を揮えるようなスタッフは居ないのではなかろうか。

もし居たら、先般のような散々たる惨めな訪米はなかったと思われる。

 

選挙で支持してくれた県民に、「やっぱり知事としての限界です。国家と国家の条約という約束の前に、知事の力には限界がありました。」とアピールする目的なら見事かも知れないが、バカバカしい税金の無駄遣い御一行様としか見えなかったのは、私だけではないと思われる。

 

もうひとつ、商業施設に作り変えれば経済効果というロジックには、大きな間違いがある。

それは、商業施設を次々に作り続けも、次々に赤字施設が増加するだけで、栄えるのは一箇所だけという理論である。

全国各地の大型商業施設において、イオングループとヨーカド―グループが戦い合って、潰れてしまった施設と近隣のシャッター街になった商店街を見れば明らかである。

すなわち、沖縄県民も観光客も財布と胃袋は、ひとつしか持っていないのである。

県内に12箇所の商業施設を造っても、アメリカンビレッジが高い経済効果を生んだから他でも成功する、という考え方が、翁長知事のブレーンが描き出した幼稚な夢物語に思えてならず心配している。

ディズニーランドがヒットしたから、国内にディズニーランドを12箇所作ろうと考えるに等しい。

「やってできるはずよぉ。」「やったらいいさぁ。」などという楽観論は、島酒を飲んだ時の話だけにしておいて欲しいし、記者会見で表明すると、純真な沖縄県民の中には、本気で出来ると信じてしまう人々が少なくない。