今回は、ある居酒屋のチェーン店様の現場での話しをご照会させて頂きましょう。弊社では、長いお付き合いの居酒屋チェーン店様には、常日頃からお世話になっていることもあり、様々の助言をさせて頂いております。
 先般の現場は、明らかに建物側に問題があり、その問題が原因で駆除施工することも困難な要素がありました。その建物側の問題とは、その物件の家主さんが、ご自身で料理屋を経営されていた頃の設備工事が原因であり、天井裏の駆除施工を実施すれば、店内にネズミが出てきてしまうという問題なのです。

 そこで、建物側の原因を修繕し、直してもらうのは家主様にご負担頂き、その上で家主様のご自宅がある上の階の部と下の店舗部分の負担割合から考えて、半分を家主様に費用をご負担頂きたいというお願い、また、建物全体を駆除しなければならないという内容を居酒屋チェーン本部様にご提案させて頂きました。そして、担当者が家主様と協議を重ね、やっとのことで家主様が同意して下さった。とのことでした。

 何しろ、長年にわたってネズミが止まらず、悩み抜いた経験がある家主様だから、ネズミを駆除すること自体、不可能なことである。よって、弊社は、いい加減なことを言っている駆除業者として見られているわけだから、最初からアウェイで試合する気分と言えるでしょうか。
 そして、試合前から早速始まった。家主様から、最初の施工では何をするのか。どうやってネズミが居なくなるというのか、いつ頃に居なくなるのか。何しろ、質問の嵐である。

 費用負担をしたくないのは良く分かる。費用を負担することになってから、他人事ではなく自分事になっているわけで、関心を持ってもらえるのは嬉しいけれど、だけど、最終的なところが、ネズミが居なくなるのが楽しみだ。というのではなく、ネズミが居なくなるわけがない。という考え方なので、マイナス志向になり、疑いを持ち、すべてを問い質し、場合によっては意見を言うつもりという感じ方は間違っていない。

 そこで、私は答えました。掃除屋さんなら予定通りに床を掃除して、ガラスを磨けば終わりますが、我々のネズミの世界は、ネズミに聞かないと分からないのです。相手次第でやることがすべて変わりますので、今の段階では何も申し上げられません。

 この掴まえ所のない回答に対して、さあ、いつ頃に爆発されるだろうか。時限爆弾の導火線に火を付けてしまった。怒りが爆発する前に、本当にネズミの形跡がなくなったとか、音を聞かなくなったという、実感して頂き、理解してもらう必要性がある。

 20年以上前から住み着いているというネズミ達に、どのように出て行ってもらうのか、今の段階から考えなくてはならないのが、仕事という厳しさですね。