現地調査にお伺いすると、ほとんどのお宅でネズミが天井裏を走り回る場所について、教えて頂くことが多い。
「ここ、この辺でよく騒いでいる。」と天井の一部を指し示しながら説明して頂くことが多い。
また、「この壁を登って天井裏に入り込み、こっちからあっちへ移動している。」などと点と点を繋いで行動経路を説明される方も少なくない。

しかし、これらの説明のほとんどが間違いというケースが少なくありません。実際に天袋や点検口などから、天井裏を拝見させて頂くと、天井の一部だけでなく、天井裏の全体に走り回っているのに、お住まいの皆様方は、天井の一部だけにネズミが居ると思われているようです。

実際には、よく天井裏で音がするという場所は、そこだけ断熱材が入っていないというケースです。何らかの事情でめくれたのか、または、施工した職人さんの手抜きなのか、断熱材の枚数が足りなかったのか、敷設されていない箇所があるのです。

断熱材の上を歩くということは、座布団の上を歩くようなものであり、小さいネズミの体重では、音が階下に響くことにならないわけです。人間の耳では感知できません。ですから、家じゅうの天井裏を歩き回っていても、家の方は、ごく一部しかネズミが居ないと信じ込んでおられます。

ですから、毎回のように、ここを通って、ここで暴れる。という極めて限定的な位置しか認識されないわけです。

限られた情報量がすべてだと思い込んでしまう、一種のヒューマンエラーの典型かもしれません。