正直に言うと、私自身、一昔前までは体罰の賛成論者だった。私自身も男子校で体罰のない日はないというぐらいの環境で鍛えられ、大会に勝利してきたし、その時の指導者に対しては、今でも感謝している。
すなわち、殴る側に愛情があり、殴られる側に感謝や反省があれば、殴ると言うコミュニケーションは通じると考えていた。

しかし、最近のスポーツの世界を見ていると、体罰は不要なのかも知れないと思うようになってきた。
例えば、水泳では従来は、壁面にタッチすることがゴールだと思われていたために、金メダルが取れなかった。ところが精神科の医師のアドバイスにより、ゴールして振り返り、電光掲示板で順位やタイムを確認するところがゴールだと教えたところ、金メダルが続出したという。人間は意識の持ち方でタイムが変わるというのである。

また、知り合いのキックボクシングのチャンピョンの方は、ご飯をたくさん食べながら、10キロもの減量ができるという。走って燃焼させるために、炭水化物は必要らしい。また、熱中症対策に、水分を摂取させることも、昔では考えられない。

そのくらい、医学的な見地からのアドバイスによって勝利するようになったというのである。気合いとか、根性とか、その延長線上の体罰となれば、通用しないとか、必要ないとかいう時代になったのかと実感してしまう。

運動生理学とか、心理学とか、解剖学などがスポーツに役立つようになってきている。時代は大きく変化していると実感した。