ネズミの駆除会社は、現地を見ないことには駆除費用が算出できない。
建物の大きさ、古さ、増改築などの有無、生息しているネズミの種類と個体数など、様々な構成要件を認識しなければ正確な算出はできない。しかし、調査からご報告まで費用は一切無料となっている。

先日もあるマンションの駆除について現地調査と見積もりの依頼があった。現地調査にお伺いするのは、経験9年目のリーダーとサブリーダー、そして、指導を受ける新人の3名でマンションをつぶさに拝見した。
その結果を現地調査報告書にまとめ、お見積書と合わせて管理事務所あてに郵送させて頂いた。

すると管理組合の理事長さんからお電話を頂き、「駆除会社の各社からの調査報告書を住民に開示し、投票を求めたいと考えている。過半数を獲得すれば正式発注となるがいかがなものか。」と聞かれた。返事のしようもなく、「どうぞ開示して下さい。」と返事をしたら、10日程経過して、理事長さんからお電話があり、「凄いですよ。お宅の会社の投票がすべてで他の会社への得票はゼロです。しかも、投票を回収開始の本日の段階で、過半数の得票に達していて正式発注が決まりますので、初回施工日の日程を決めて下さい。」とのことだった。

聞かれた時は、作文能力がなく、大学受験の800字の小論文が原因で浪人生活を味わった経験から、強烈な劣等感もあり、仕事は来ないと思い込んでいた。そしたら、予想外の全票獲得という結果に終わった。
アメリカ大統領選挙では、対決する討論があり、得票に影響するという、オバマが再選されたと聞いたが、支持を得るために、どれほどの冷や汗をかくことか、現地調査より、帰社後の報告書の作成というプレッシャーの方が大きい。
「早く出せ!まだか!」
この報告書の催促が原因で多くの社員が去って行ったことも記憶に新しいところだ。