老人介護のヘルパー制度が行き渡り、ヘルパーさんから東京都に提出された業務報告の中に、ネズミによる被害が多く出されていたそうです。

寝たきり老人が足を噛まれた、寝返りのできない老人の布団の中に、ネズミが≪巣≫を作っていた。などというショッキングな内容が少なくなかったそうです。新聞記者がそれらの報告を丹念に調べ上げ、記事にしたわけです。すると、その記事をテレビ各社が映像にすると面白いと考えたそうで、在京のテレビ4局から弊社に取材協力を求めてこられました。

これらの各社に対して、そう簡単に筋書き通りにネズミの姿を映像にできるとは考えないほうが良いとか、1年がかりぐらいでないと、現場の取材は無理です。と申し上げたところフジテレビのスーパーニュースの特集コーナーを製作されている田渕さんという方だけ、「長期間でも、深夜でも早朝でも、何十回でも取材させて下さい。」とおっしゃられて弊社と一緒の現場周りが始まりました。

何しろ、そのプロ根性は大したもので、昔だったらフィルムの無駄遣いではなかろうかと心配するところですが、デジタルなので不要なところは処分し、取り直しできるので無駄もなく、執念を感じるほどの取材でした。そして、半年間、色々なシーンが撮れました。

ある江東区の独居老人の自宅では、お爺さんが亡くなってから二階に上がったことがないというお宅で、二階の押入れを開けたところ、≪巣≫を発見しました。母ネズミが子ネズミ達に授乳中でした。母親に逃げられてしまいましたが、体長数センチ以下の子ネズミ達を6匹捕獲し、母親のネズミが必ず戻ってくる習性を利用し、ワナを仕掛け、カメラも仕掛け、別室にて待機していると予想した通りに撮影成功しました。

一方テレビ局では女性のプロデューサーが夕食時にネズミを取り上げるなど、反対ですとおっしゃったそうですが、安藤優子さんのスーパーニュースの中で特集コーナーがあり、高視聴率を獲得する結果となりました。他局のグルメや温泉などを追い抜いて、その日はトップだったそうです。そんなことから、第二段の撮影もあり、同様に尊敬できるテレビマンと長期間の撮影をお付き合いさせて頂きました。

他局が問題とは言いませんし、誤解を受けてもいけないのですが、番組の一部にはヤラセがあるなどと聞きますと、影響が大きいだけに尊敬できるテレビマンとの仕事は有り難いと感謝した次第です。