年頃の娘を持つ父親として、ちゅう太郎は時々考えてしまう。先日、知り合いのお嬢様が同棲されていた彼氏と婚姻届を提出されたというのである。これスウェーデンでの話である。
何でも聞くところによると、結婚前に同棲期間を一定の間設け、それから婚姻届を提出して結婚に至るというのが一般的だそうだ。
結婚もしないでふしだらだ、という批判的な考え方もよく理解できるし、結婚するまでは純潔でなければならない、という考え方も悪くないと思うし、支持派といっても良いポジションだったが、昨今の離婚率の高さなどを見ていると、練習期間を経てから結婚に至るという、仮免許制度がとてもよく理解できるような気もする。

ちゅう太郎は4年弱の交際期間を経て結婚に至ったが、昨今の交際期間を聞くと、半年間が長い方で、3ヶ月間などという事例も聞くことが多い。
毎週のように会い、ディズニーランドに行ったり、食事に行ったり、映画を見たり、買い物に行ったり、いずれも限られた時間で、楽しい時間を共有している。「あっ、ちょうちょが飛んでいる。すみれが綺麗ね。お星様がたくさん見えている。」などという誠に交際期間独特の会話が有り得る。
一方、一緒に生活していれば、「家賃の支払いは、電気代は、家具はどこで買おうか。」など、現実的で笑顔ばかりで話していられないような内容も多くなってくる。
メルヘンチックな仮想空間とは言い過ぎかも知れないが、現実の厳しさや困難を意識している共同生活者では、お互いの価値観や考え方など、また、見えなかった性格や癖に至るまで、よく理解できるようになる。

自動車の運転にも仮免許制度があり、医師にはインターン制度があり、教師には教育実習という機会がある。人生で最も重要な問題としての婚姻に関して、同棲という仮免許時代があっても悪くないと考えるようになってきた。

少なくとも、カッコいい彼氏と美味しいレストランで食事して、「もしかして良いかも。」などと考えないで欲しいと願う今日この頃である。