昨日、某デパートの惣菜売り場の店舗から、クレジットカード決済の回線が、ネズミに噛み切られたので、すぐに来て欲しいという依頼がありました。

 行ってみると、確かに断線があって、システム会社の人が断線は修理して下さっていて、クレジットカードの業務は稼動しているものの、確かにネズミが店内に侵入してしまっている。
 狭い店内で原因は程なく判明した。弊社のスタッフが、前回の閉鎖工事の処理方法で、ミスを犯したのである。いわゆる≪ヒューマン・エラー≫と言う、人間のミスである。それも、新入社員だったら、ミスしないような、プロだからやってしまう、というミスなのである。
どうしてベテランが、あんなミスを。考えると頭が痛くなる。もっと経験の浅いスタッフも居るのに、彼がミスするということは、他の誰でも。いや違う。彼だからやってしまったミス。その根本原因を考え抜いてみると、≪慣れ≫だという解に辿り着いた。

 今回のミスは、弊社の最もベテランのスタッフがやってしまったミスだった。≪慣れ≫は、初心者にはない。慣れているからこそ、やってしまうミスなので始末に悪い。

 ベテランゆえに、頭の中に経験値という、データベースのような基本的な概念があって、そのいずれかのパターンに収めてしまい、分かっている、分かり切っているように、業務を処理してしまう。

 新人だったら、マゴマゴするであろう。時間も掛かる。でも緊張してしまってミスが出ないレベルの仕事というのもある。

 自分が乗る飛行機のパイロットはベテランを望むし、外科手術は新米の医師より、当然のことであるがベテランを求める。ベテランには価値がある。がしかし、落とし穴がある。先般、ヒューマン・エラーの本を読んでいたら、外科医がレントゲン写真を裏返して見てしまい、悪くない肺を切除してしまい、切除しなければならない肺を残してしまったという事例を読んだ。また、つい最近では、全日空機の副操縦士のミスで背面飛行に近い状態になったと報道された。

 ≪慣れ≫が敵であると考えなければ、理想は追求できない、と理解した。潜んでいる弱点やミスを無くすための取り組みが、弊社の永遠の課題のような気がする。工業製品を販売する仕事ではない。ひとつことつの手仕事の積み重ねなので、効率を重視せず、安全と確認の連続になる必要性を痛感した。