先日、千代田区麹町の某建物を解体する業者さんからご依頼を頂いた。3年ぐらい前に千代田区内でマンション建設したときには、こんな規定はなかったのに、と言いながらご依頼を頂いた。

 23区の条例では、「建物を解体する前に、ネズミ駆除を実施しなければ、解体してはならない。」という旨の規定が次々に制定されてきている。私の記憶では最初は大田区か港区だったか、それから順次各区が同様の規定を制定しているのです。

 解体業者さんには、大きく分けて2通りのパターンに分かれる。①役所や周辺がうるさいから、やったことにしてくれれば良いから、何しろ安くして欲しい。②後で近隣住民ともめたくないから、完全に駆除してください。というのである。

 ただ、どちらも解体を開始する予定日が決まっていて、それまでに完了して欲しいという要望は変わらないのである。

 解体業とか、建設業の皆さんは、<請負契約>で仕事をされている。<請負契約>の構成要件は、①契約した期日までに仕事を完成して引き渡す。②完成した仕事に対して報酬を支払う。というものですが、ねずみ駆除はこの契約になじまないのです。

 相手がネズミだけに、予定の期日までに予定通り完成しないこともありますし、その反対に早期に駆除が完了してしまうこともあります。すなわち、清掃業のような床やって、ガラス磨いて終わりというような、定型業務ではなく、相手のネズミ次第でどのように変化するかも知れない、期日までに完成するということは、難しいことも多いわけです。

 ところが、そんなことはお構いなし。何しろ、解体開始の予定日には、実際に重機は搬入され、すべてのスケジュールが動き出すわけですから、弊社としても当然のこととして頑張らねばならないのです。

 歩いていたら、突然床が抜けたり、仏壇がそのまま残っていたり、残飯のビニール袋が放置され、異臭を放っていたり、先週は、2階の和室の畳の床が抜けて、1階の部屋が見えるという物件もありました。本当に凄い物件というのも時としてあります。

 区の条例で、解体の前に、ネズミ駆除を実施するときは、その前に引っ越し業者さんと清掃業者さんによって、綺麗にしてから依頼するというのは、どんなものでしょうか。